植物遺伝学研究室
【研究テーマ】デンプン蓄積型ウキクサへの改良

今村 綾准教授
植物をあらゆる角度から理解し新たな発見につなぐ
これまでの学内共同研究で、シロイヌナズナは葉酸を合成できなくなるとデンプンを蓄積することを発見しました。この知見を稲に応用することをめざし、現在は稲と同じ単子葉類であるウキクサを研究対象としています。植物細胞は分化全能性を持つとされますが、実際には品種によって再分(細胞から個体への再生)のしやすさが異なります。特にウキクサは再分化が難しい植物であるため、そのハードルを下げる条件検討を行い、将来的にはデンプン蓄積型への品種改良をめざしています。 研究を進める中で、一見無関係に思えた要素同士が実は相互作用していることが分かった瞬間におもしろさを実感。さらに、得られた知見をどのように実用へと結び付けられるのかを考えることも、研究の大きな醍醐味だと感じています。
また、本研究室では、実験室内での解析にとどまらず、自然環境で作物がどのように生育するのかを肌で感じることも重視。そのため、卒業生や農家の方々の協力を得ながら、田植えや作物栽培などのフィールドワークにも積極的に取り組んでいます。
学生には常々、「一発で成功するより、失敗から学ぶことのほうが多い」と伝えています。既存の手順書をただなぞるのではなく、自ら仮説を立て、うまくいかない原因を突き詰める。その試行錯誤のプロセスこそが、植物と真摯に向き合い、未知の課題を切り拓く力を育てると信じています。
堤 凜太郎さん 4年次(岐阜・県立各務原西高等学校出身)
家畜飼料やバイオ燃料への活用を見据えた ウキクサ研究に打ち込む
長浜バイオ大学を選んだのは、医療・食品・農業と多彩な分野を学べる点と、他大学に比べて実験機器が非常に充実している点に魅力を感じたからです。幼い頃から生き物が好きだった私にとって、最先端の技術に触れながら生物学を深められるこの環境は最適でした。
現在は、増殖能力が高く、家畜飼料やバイオ燃料への応用が期待される水生植物のウキクサ(Spirodela polyrhiza)のデンプン蓄積機構の解明に取り組んでいます。先行研究では、シロイヌナズナにおいて特定の場所で葉酸が合成できなくなるとデンプンが蓄積することが判明しています。ウキクサでも同様に葉酸が関与していると考えられるため、目的のタンパク質が細胞内の"どこ"で働いているのか、細胞内局在※の解析に挑んでいます。
研究は思い通りにいかないことも多いですが、実験の手順を一から見直し、条件を変えて成功に導けた経験は大きな自信になりました。また先生の「失敗を重ねるほど知識は深まる」という言葉を胸に、粘り強く課題解決する力が身についたと感じています。。今後はサトイモなどのデンプンを蓄積する 植物にも視野を広げ、ウキクサの改良 につなげていきたいと考えています。
※タンパク質などの物質が細胞内の特定の場所に限定して存在する状態。