比較動物学研究室

【研究テーマ】
様々な動物におけるストレス応答の仕組みの多様性/動物の遺伝的多様性
和田 修一准教授
動物はどのように環境に適応してきたのか。
ストレス応答から探る進化の軌跡。
大学4年生の頃から、「ホヤ」を研究対象としています。ホヤは無脊椎動物でありながら、脊椎動物へと進化する過程の祖先的な特徴を残す興味深い生物です。自然界にある未解明の謎を自らの力で探求していくこと、そしてホヤの研究の先に"生物の進化"に迫ることができる面白さにのめり込み、現在に至っています。
現在の研究テーマは主に2つあります。1つ目は、動物におけるストレス応答の多様性の研究です。動物は温度や酸素濃度の変化といったストレスから身を守るために、ストレス応答という仕組みを備えています。脊椎動物には共通した仕組みが見られますが、私たちは動物ごとの違いに注目。特に興味深いのが、「ユニバーサルストレスプロテインファミリー」と呼ばれる、ストレスから体を守る働きを持つ遺伝子のグループです。この遺伝子は植物や細菌にも存在する進化的に古い遺伝子ですが、一部の動物にしか見られません。ユニバーサルストレスプロテインファミリーの働きや、その働きを調整する仕組み、またなぜ一部の動物だけがもつのか、その謎に挑んでいます。ホヤやプラナリア、貝、ミミズといった多様な生物を対象に、新たなストレス応答の仕組みの解明をめざしています。
2つ目は、陸上に進出したプラナリアの仲間「コウガイビル」の遺伝的多様性の研究です。夜行性で研究例が少ないコウガイビルについて、分布の広い種と限られた種を比較し、生息域の拡大に関わる要因を探っています。
私の研究室では、「自発的に行う」姿勢を大切にしています。自ら考えて行動し、研究に挑むことを重視しています。人から促されて取り組む研究ほどつまらないものはありません。調査力、計画力、試行錯誤力、そして記録・発信力といった研究を通じて培われる力は、将来どの分野に進んでも大きな財産になるはずです。
大村 真弘さん
博士課程後期課程1年(滋賀・県立高島高等学校出身)
未解明の生物・コウガイビルの謎を、 自らの"足"と"手"で解き明かす。
幼い頃から虫捕りや釣りに親しみ、生きものを"分子レベル"で解き明かしたいという思いを抱いてきました。そうした環境を求めて見つけたのが長浜バイオ大学です。実験・実習時間の充実に加え、少人数教育による教員との距離の近さに魅力を感じ、進学を決意しました。
現在の研究テーマに取り組む契機となったのは、チューター制度を通じて知り合った、同じくイモリ好きの友人との出会いです。二人で自主的に採取や調査を行う中で、よく目にしたのがコウガイビルでした。採取や飼育の難しさから研究が進んでいない生物であると知り、「自分ならこの研究を前進させられるのではないか」と、本格的な研究に着手。日本各地をフィールドにコウガイビル類の採集を行い、DNA配列やミトコンドリアゲノムの解析に取り組んでいます。従来は見た目による形態学的な分類が主流なのに対し、私の研究では分子生物学的なアプローチを加えて、種の差異や遺伝的多様性の解明を進めています。また、野外調査の過程で、コウガイビルの生殖に関わる可能性のある興味深い行動を観察し、記録することができました。この観察は、本種の生態理解につながる重要な手がかりになると考えています。
さらに、他研究室の教員の紹介をきっかけに、ユニークな生物を対象とする研究者が集うコミュニティにも参加するように。専門分野を越えた多様な視点からの議論は、自身の研究を新たな段階へと導く重要な刺激となっています。 身近な生きものであっても、未解明の領域は数多く残されています。
現在は博士課程に在籍し、コウガイビル類の分布拡大や進化的背景の解明に取り組むとともに、その奥深い魅力を広く発信していきたいと考えています。