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人類の課題に挑む最先端の研究

バイオのチカラで人類の課題に挑む!

バイオマスの増産へ
種子の中に希望の光を

林 誠 先生 フロンティアバイオサイエンス学科

林 誠 先生植物の種子に蓄積されている養分は、私たちにとっても大変利用価値が高く、食糧やバイオ燃料として大いに活用されています。種子の細胞内部には膜に包まれたオルガネラ(細胞内小器官)とよばれる構造体があり、その中に脂質やデンプン、タンパク質を貯蔵して次世代に備えています。林誠先生は、植物のオルガネラがどのように形成され、発芽の過程でどのように分解されるのか、その変換のメカニズムを解明しようとしています。
近年では遺伝学の手法を用いてある遺伝子を破壊し、発芽したばかりの植物の細胞に存在する葉緑体の仲間のエチオプラストにデンプンを多量に蓄積させることに成功しました。これにより、種子やイモ以外にも植物のあらゆる器官でデンプンを貯蔵する可能性を示唆しました。さらに先生は研究を一歩進めて、この遺伝子が葉酸の合成に関与していることを明らかにしています。
植物における葉酸とデンプンの関係はまだ分からない部分も多いのですが、先生は葉酸によって人間の目には見えない植物本来の隠れた能力を引き出したいと考えています。将来は、間伐材として間引かれた樹木にデンプンを蓄積したり、雑草に油脂を合成させてバイオ燃料を作るなど、夢のような技術が生まれるかもしれません。

好中球の働きを制御して
感染症に立ち向かう

伊藤 洋志 先生 フロンティアバイオサイエンス学科・臨床検査学コース

伊藤 洋志 先生
私たちは普段から膨大な数の雑菌の中で暮らしています。それでも感染症にならずに健康でいられるのは、体内に侵入した細菌に対抗する白血球が適切に機能しているからです。
伊藤洋志先生は、白血球の中でも5割以上を占めている好中球に着目し、その働きを制御するメカニズムについての研究を行っています。好中球は旺盛な貪食能と強力な殺菌能を有し、生体防御機構の最前線で外敵と戦います。しかし、過剰に働くと組織や臓器を傷つける場合があり、功罪併せ持つ存在といえるでしょう。そのため、生体内には好中球をきめ細かに制御する仕組みがいくつも備わっているのですが、伊藤先生は好中球が細菌を貪食し、活性酸素を産出して殺菌を行う際、オートファジーという現象が誘導されることを発見しました。オートファジーとは細胞内の不要な成分を分解する自食作用のことですが、オートファジーの誘導で好中球の殺菌能が高まることも明らかにしています。
高度医療の現場では免疫力の低下した患者さんが増加し、あらゆる抗菌薬に対して耐性を獲得した多剤耐性菌による感染症が問題視されています。今後さらに好中球の働きとそれを制御するメカニズムが解明されれば、本来ヒトがもつ免疫機構を活用した、抗菌薬に頼らない新たな治療法が確立されるかもしれません。

遺伝子・ゲノムの解析で
進化の壮大な謎に迫る

大島 一彦 先生 メディカルバイオサイエンス学科

大島 一彦 先生
生物の進化を紐解く研究は、今や化石の発掘から遺伝子・ゲノムの解析へ完全に軸足を移しています。大島一彦先生は、私たちヒトがなぜ“人間”になりえたか、その要因を探るためにヒトを含む霊長類だけがもつ新しい遺伝子を発見。その遺伝子がヒトに通じる進化の過程でどのような役割を果たしたのかを解明しようとしています。さらに先生は、生物の姿形や細胞の進化の引き金となる新しい遺伝子の誕生のメカニズムについても追及。中でもRNAを介して遺伝子のコピーが生じる現象に注目し、その原因となっている転移因子の分析を進めています。
転移因子とは、細胞の核に存在するゲノム上を動き回るDNA因子のこと。バクテリアからヒトに至るまで、地球上のあらゆる生物に広く分布しています。未だ多くの謎をもつゲノムの未知領域ですが、ヒトゲノムの実に45%が転移因子で構成され、植物と動物といった異種間も移動することが最近明らかになり、生物の進化を促す原動力の1つであると考える研究者が増えています。この研究から転移因子の数や活動性の変遷や転移因子同士の関係性、移動のメカニズムを解明できれば、遺伝情報を操作する新たな実験技術の開発につながります。また、将来的には生殖細胞、ES細胞や、がん細胞などに関わる医療への貢献も期待されています。

メダカ属の多様性から
性決定機構を明らかに

竹花 佑介 先生 アニマルバイオサイエンス学科

竹花 佑介 先生
日本人には身近な魚類で、古くから実験動物に用いられてきたメダカ。東南アジアには近縁種が約35種も分布しており、さまざまな環境下に生息しています。竹花佑介先生は、そんなメダカと近縁種をモデルとして、オス・メスを決める仕組みと、その進化の過程を解明しようとしています。
メダカの性決定を司るマスター遺伝子はY染色体上のDmy遺伝子であることがすでに明らかになっていますが、野生メダカには性染色体がXY型なのにメス、XX型なのにオスといった性転換個体がまれに存在します。このような遺伝子型と表現型の不一致はなぜ起きるのか。竹花先生は交配実験によって性転換の原因となる遺伝子を同定し、正常なオス・メスの決定に関わる新規の遺伝子を探しだそうとしています。
一方、メダカ以外の近縁種のほとんどはDmy遺伝子をもたないため、別のマスター遺伝子をもつと考えられてきました。近年の研究から、メダカの近縁種はそれぞれ異なる性染色体をもつことが明らかになり、これら新規の性染色体から第2、第3のマスター遺伝子が同定されつつあります。竹花先生は多様性に富んだメダカ属の性決定機構を読み解くことで、性決定の多様化をもたらす仕組みの謎に迫ろうとしています。

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