病気になった人には的確な診断や治療するために、健康な人が将来病気になるかどうかを調べるためには正確な生体情報が必要です。
身体の情報を客観的、科学的な数値や画像として提供する「臨床検査」を行うのが臨床検査技師です。
臨床検査技師は血液や尿などの検体検査や心電図、脳波などの生理機能検査を行います。
また、患者さんに検査の目的や意義などの説明も求められるようになってきました。さらに、チーム医療の一員として他の医療職者と共に医療を支援します。
さらに...臨床検査技師の資格を取得後、上位資格にチャレンジできます。
臨床検査技師は大きく分けて、血液や尿などの成分・細胞を調べる検体検査と、心電図や脳波などを測定する生理機能検査の2種類の臨床検査業務に携わります。
私が滋賀県の職員として採用され、最初に勤めた成人病センターでは、生理機能検査を担当しました。その後異動となった保健所では、血液検査以外にも食品や飲料水・琵琶湖などの水質の検査も行いましたね。
そして成人病センターに戻って臨床検査部に所属しながら研究所の立ち上げにも関わり、小児保健医療センターを経て、最後は成人病センターで臨床検査技師長を務めました。私が臨床検査技師になって約40年、業務は随分と多様化・高度化してきました。最近は感染症やがん細胞を調べる遺伝子検査も導入されつつあり、長浜バイオ大学で学んだ専門性がより生かせるようになっています。また臨床検査技師も採血などの検体採取や臨床検査の患者説明を行うようになるなど、対人業務が増えています。現在、病院では採血から検査、診察までを一日で行うのが一般的であり、医療の効率化が求められる時代に合わせ、検査の迅速性なども重要となっています。
チーム医療とは、医師を中心に看護師や薬剤師、栄養士など複数の医療専門職のスタッフが連携して患者の治療に当たること。医療が高度化する近年、チーム医療の必要性は日に日に高まっています。臨床検査技師ももちろんチームの一員であり、「臨床検査」という手段を用いて患者の病状管理や健康管理を支える、重要な役割を担っています。臨床検査技師が主に活動するチーム医療業務としては、微生物学検査や院内感染予防の専門知識を生かす「感染管理チーム(ICT)」、感染管理や血液検査データの理解が求められる「栄養サポートチーム(NST)」、生化学検査データや関連疾患の検査知識が必要な「糖尿病療養指導チーム」などが代表的です。また診断や治療効果の確認のために実施されるカンファレンスにも参加し、臨床検査結果からの意見を述べることもあります。チーム医療の現場では、病院内のさまざまなスタッフや患者との対人関係を良好に維持することが非常に大切です。円滑な対人関係を築くことで、臨床検査技師の能力を一層開花させることができる時代なのです。
医療には多くの専門職がありますが、診断の確定のための業務を担当する臨床検査技師はとても重要な職種です。医療の現場で診断に不可欠な臨床検査に携われることは、とても大きなやりがいになります。なぜなら病気の兆候や体の異変を発見して医師の診断をサポートすることが、病気の早期発見・早期治療へとつながるからです。検査結果には責任を伴いますがその分、医療の一端を担っているという誇りを持てます。また以前に比べて患者さんと対面する仕事が増加したため、直接患者さんから感謝の言葉をもらえる機会も多く、そのときにやりがいを感じることもありますね。臨床検査のニーズが高まっている現代、臨床検査技師になってからも細胞検査士や輸血検査技師などの専門的な認定資格を取得することで、仕事の可能性をさまざまに発展していくことができます。将来の目標と仕事への情熱をしっかり持ち、日々の向上心を維持すれば、大きな充実感やキャリアアップにつながっていくことは間違いありません。