大学の魅力を語る 『バイオ女子のすすめ』

2014年11月取材

「リケジョ」とよばれ、近年注目の的の理系女子。中でもバイオを学ぶ「バイオ女子」の皆さんに生の声を聞いてみました。


左から 吉田さん、田井さん、岩本先生、亀井さん、白石さん、

バイオに興味を持ったきっかけ、バイオを学ぼうと志したきっかけは?

岩本昌子先生(バイオサイエンス学科准教授)
今日は、いよいよ充実した大学生活を送っている、学部3年次生から大学院博士課程の「バイオ女子」の皆さんに集まっていただきました。バイオ分野、特に長浜バイオ大学をめざす女子高校生に向けて、なぜバイオサイエンスに興味をもったのか、なぜこの大学を選んだのかをお話しして下さい。まずは、亀井さんから、どうぞ。

亀井優香さん(大学院博士課程後期課程3年生)
祖父が理科の先生をしていて、家にたくさん図鑑がある環境に育ちました。生物を好きになる決め手になったのは、高校の授業で知ったキイロタマホコリカビです。ひと目見て「かわいい!」(笑) 。単細胞が(集まって子実体を作る生活環も愛おしい(笑)。

田井晶子さん(バイオサイエンス学科4年次生)
私は家が農家をしていて、畑や田んぼが周りにありました。それで自然と植物に興味を持つようになったと思います。「生物って楽しいな」と高校で理系のコースに進んで、そのまま長浜バイオ大学を選びました。

吉田麻衣さん(コンピュータバイオサイエンス3年次生)
高校に入学する時、 「理系か文系か選びなさい」 って言われて、化学が結構好きだったことと英語がちょっと苦手だったという理由で理系に進みました。この大学を選んだのは、オープンキャンパスにきてとても雰囲気が良かったからです。私はコンピュータバイオサイエンス学科なのですが、最初はやっぱり緊張しました。「パソコンができる人ばっかりかな」 、「オタクっぽい人が多いのかな」って。でもそんなこと全然なくて、みんなとても明るかった!

白石遥さん(アニマルバイオサイエンス学科3年次生)
私は田井さんとは反対に都会で育ったのですが、両親が外に出掛けるのが好きで、海や川や、自然のあるところによく連れて行ってもらいました。そのうち生き物が好きになって理科が得意になったと思います。将来を考えるとやっぱり英語も必要かなと思って、高校は英語をばりばり勉強する文系でした。でも、理科の授業が少ないのが残念で…。自分がやりたいことをもう一度考えたら、大学では生物の勉強がしたいと思って決めました。

岩本
「理科が好き、生き物が好き」なんですね。私の場合は、宇宙人に会いたかったからかも(笑)。中学生ぐらいの時、テレビのニュースを見ていたら、NASAの探査機が火星の土を調べたがアミノ酸が見つからないから火星に生物はいないと言うのですよ。地球の他にも生命体がいたらいいなと思っていたので、すごく悔しかったの(笑)。でも、なぜアミノ酸を調べるのかと思いました。生物って何なんだろうと考えるきっかけになったと思います。

亀井
でも、先生が学生の頃って、バイオとか生物学は今ほど注目されていなかったですよね?

岩本
そうですね。以前は生物学が何かの役に立つと考えて学んでいた人はそれほど多くなかったかもしれません。現在では、iPS細胞を使った研究が医療分野で応用されつつあるし、遺伝子の情報が医療や産業に生かせるようになってきていますよね。「バイオが時代の先端を切り拓く」と言われますが、生物学の研究を基盤とした技術の実用化が、すごく現実味を帯びてきたと思います。

バイオを実際に学んで感じること、「バイオって面白い!」と感じる瞬間は?

岩本
ところで皆さんは、今、長浜バイオ大で学んでいるところです。面白いと感じるのは、どんな時でしょうか?

吉田
2年次生の後半に、ビーグルボーンブラックという小型のコンピュータを使って自分達でロボットを作るという実習がありました。プログラミングも自分たちでするので、すごく大変だったけど楽しかったです。先生たちと一緒に夜遅くまで大学に残って、みんなそれぞれ凝ったロボットを作っていました。私のグループは、尻尾の付いた猫みたいなロボットを作りました。動画、見ますか?(皆で見て、かわいい!と盛り上がる。)卒業研究では、タンパク質の立体構造をコンピュータで予測するのをやりたいと思っています。バイオのことを理解しながら、コンピュータも操作できるようになるところが良いですね。

白石
これまでの学生実験では、大腸菌遺伝子の未知クローンを解析したのが面白かったです。PCR法でDNAを増幅して塩基配列を決定するというのをやりました。それと、最近では、体の一部が光るように遺伝子操作したトランスジェニック動物を作りました。アフリカツメガエルの胚に緑色蛍光タンパク質の遺伝子を導入するのですが、たとえばPax6という遺伝子に入れたら眼のところが光るとか、導入する遺伝子の部位によって光る所が違うのです。

田井
私は4年次生なので、卒業研究に追われています(笑)。私のテーマは生物の寿命に関するもので、遺伝子ノックアウト(注:組換え技術によってある遺伝子を破壊する実験方法)すると寿命が短くなるFHL1という遺伝子があるのですけど、その遺伝子がどうやって寿命に関わっているのかをパン酵母を使って調べています。実際に自分で研究を進めるようになって、これまで何となく持っていた知識がきちんとつながって理解できた時に、あ、面白いと分かるようになりました。それと、もっとやっておけば良かったと思ったのが英語です。英語の論文を読むようになって、身に染みて感じています。

亀井
私は田井さんと同じ研究室で、寿命や老化に関わる研究をしています。ヒトなど真核生物の単純なモデル生物としてパンやお酒を作る酵母を使うのですが、この酵母って、増殖するとき母細胞から娘細胞が出芽しますよね。(一同うなずく。)私は、出芽が起きる度に娘細胞をマニュピレータで取って全部数えるという実験をしました。2時間おきに顕微鏡の前に座って、1個の細胞が死ぬまで観察を続けるとても地道な作業です。でも、その結果をまとめた論文が、『The Journal of Biological Chemistry』というアメリカの科学誌に掲載された時は嬉しかったですね。

岩本
それは、亀井さんの研究の価値が認められたということですね。では、勉強以外の課外活動はどうでしょう?何か、サークルやアルバイトはしていましたか?

亀井
今は研究室にこもりっきりなので(笑)、何もしていません。学部生の頃には塾の講師をしていました。合唱部にも所属していました。

田井
私も、今は研究室にずっといます(笑)。以前は学園祭の実行委員をやっていました。長浜の市民のみなさんにフリーマーケットへの出店をお願いに行ったり、地域の人たちとの交流も楽しかったです。

吉田
私は、2年次生の時にホテルで給仕のアルバイトをしていました。急に個室の給仕を任されたことがあって、お出迎えの準備やお料理を出すタイミングを自分で考えないといけなくて大変でした。でも、それで、ハキハキしゃべれるようになりました(笑)。

白石
私は、CELL(セル)部に所属しています。CELL部では、大学のイベントや、小学校や地元の公民館で理科実験の出前講座をしていますから、私もそのお手伝いをしています。子どもたちに理科に興味を持ってもらいたいので、丈夫なシャボン玉を作ったり、スライムを作ったり…そんなことをしています。それから、月に1度、大津にある西武百貨店で小学生向けの体験教室を。CELL部が実施することになりました。

バイオの学びを、これからの進路にどう活かしていきたいのか?

岩本
最後に卒業後の進路について伺います。大学での経験を、今後にどう活かしたいですか?

亀井
来年はポスドク(注:博士号を取った後の研究職)として、今の研究をより深めていきたいです。できれば、その後も研究者としてやっていきたいと思っています。修士課程の学生の頃は技術者になるつもりでしたが。研究をとことん極める方が性に合っていると思うようになりました。

田井
私は、大学院の修士課程に進学する予定です。修士号を取った後は技術職に就きたいと思っています。3年次生のとき、インターンシップ実習で品質管理を学ばせていただきました。実験してきっちりデータを出して。いくところが、自分に合っているかもしれないと思います。

吉田
SEやプログラマーなど、ちょっと難しいかもしれませんが、バイオとコンピュータの両方が活かせる仕事に就ければいいですね。

白石
私は食品衛生監視員として、空港の検疫所や保健所に勤務する公務員を目指しています。食の安全や感染症の防止に関わる仕事をして、人の役に立ちたいと思います。

岩本
みなさんのお話を聞いて、「バイオ女子」は意欲に溢れた頑張り屋さん、が多いと思いました。地道な実験にもこつこつ取り組みますね。大学では先生の話を聞くだけでなく、レポートや発表で自分の考えを他の人に説明する練習もしますから、理系のバイオを学びながらコミュニケーション能力も高めることができます。バイオを専門に学んで社会に出ていく女性には、これからどんどん活躍の場が広がると思います。ここで学んだことを。活かして、羽ばたいて行ってほしいですね。

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