教育・研究

アニマルバイオサイエンス学科

バイオの力で生きものを理解する

学科の概要

地球上には様々な動物が生息しています。本学科は、動物が生きる仕組みを理解し、健康・長寿の研究、病気の解明、創薬や食品の安全評価などを通じて人類に貢献できる人材の育成を目的として2009年度から新設されました。

本学科では、基盤となる遺伝子、分子、細胞レベルにおける最新のバイオサイエンスを学ぶとともに、個体の生理や行動、病理、発生工学、生命倫理など を学習し、幅広い視点で総合的に動物を理解し研究する能力を養います。動物実習では、実験動物とふれあい、動物愛護と福祉の立場から正しく動物を管理する ことを学びます。

所定科目の単位取得により、食の安全を守る「食品衛生管理者」と「食品衛生監視員」の資格を取得することもできます。

期待される就職分野

食品製造、農業生産、動物産業、医療・医薬分野を中心とした幅広い分野の、研究開発技術者、先端技術開発技術者、ペット栄養管理士、動物実験飼育管理士、製造技術者、食品衛生関連技術者、品質管理者、分析技術者への従事が期待されます。

アニマルバイオサイエンス学科で触れる動物たち

本学科では、最も重要なモデル動物であるマウスに加え、日常ではなかなか出会わないような様々な動物を研究しています。
また、これらの動物を用いた実習・研究の他に、家畜や野生動物について学ぶための学外での実習が用意されています(動物行動管理学実習、野外調査実習)。
さらに、動物の個体レベルでの実験と共に、細胞レベル、遺伝子レベル、たんぱく質レベルでの実験も学びます。

マウス (Mus musclus)
ヒトと同じ哺乳類に属し、繁殖が容易であるため、医学・生物学における最も重要なモデル動物として利用されています。トランスジェニックマウス、ノックアウトマウス、クローンマウスの作成など、個体レベルでの遺伝子操作・胚操作が可能です。
本学で学ぶ機会:動物科学基礎実験、動物科学応用実験、動物科学専門実験、卒業研究

アフリカツメガエル (Xenopus leavis)
両生類無尾目に属します。成体の飼育が容易で、一年中成熟した卵が得られることや、卵が大きく実験に使い易いことから、発生生物学や電気生理学の研究対象として広く利用されています。
本学で学ぶ機会:卒業研究

カスミサンショウウオ
(Hynobius nebulosus)
両生類有尾目に属します。日本の中部から九州地方の里山に生息しています。環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されています。地域ごとに異な る集団が存在しているため、生物地理学的な研究の良い対象であると同時に、生息地の調査・保全といった保護活動が必要な動物です。
本学で学ぶ機会:卒業研究

ゼブラフィッシュ (Danio rerio)
モデル魚類として最も良く利用されているのがゼブラフィッシュです。遺伝子の研究をする上で、突然変異体を見つけ、その原因遺伝子を探す実験は重 要な研究手段です。そのためには、突然変異体を交配させ、何世代かにわたって解析する必要があります。小型の魚類は、短期間で成熟して子を産む性質を持つ ため、そうした実験に用いられるのです。
本学で学ぶ機会:動物科学専門実験

メダカ (Oryzias latipes)
メダカは日本を中心に研究が進められているモデル魚類です。ゼブラフィッシュがコイ目に属するのに対して、メダカはダツ目に属します。同じ魚類の異なる種を研究し、比較を行うことで、魚類全体に共通した性質と、種に固有の性質とを区別することができます。
本学で学ぶ機会:動物科学専門実験

ビワマス
(Oncorhynchus masou rhodurus)
サケ目サケ科に属する魚類で、サツキマスなどに近縁な琵琶湖固有の亜種です。全身がトロと呼ばれるほど脂が乗り、琵琶湖の魚で最もおいしいと言われています。漁獲高は少ないものの、近年は養殖に成功するなど、琵琶湖の貴重な水産資源です。
本学で学ぶ機会:卒業研究

カタユウレイボヤ (Ciona intestinalis)
世界各地に生息する海産の動物です。脊索動物門・尾索動物亜門に属します。脊椎動物に近縁で、脊椎動物の起源や進化を解明する鍵になると考えられ ています。成体は海底に固着し、写真のような独特の形態を示しますが、幼生は魚のような形をしており、そこに脊椎動物との共通点がかいま見られます。様々 な遺伝子操作が可能です。
本学で学ぶ機会:卒業研究

プラナリア
(Schmidtea mediterranea)
扁形動物門に属します。再生能力が強く、身体を切断すると、それぞれの断片から完全な個体が再生します。そのため、再生や幹細胞の研究に用いられ ています。また、左右相称動物の三大グループ(後口動物、脱皮動物、冠輪動物)のうち、最も研究が進んでいない冠輪動物に属するため、冠輪動物のモデル動 物としても注目されています。
本学で学ぶ機会:卒業研究

ヒドラ (Hydra magnipapillata)
左右相称動物よりも原始的とされる刺胞動物門にクラゲやサンゴと共に属します。ヒドラは飼育が容易で、出芽など興味深い性質を示すため、刺胞動物 のモデルとして昔から研究されてきました。口のまわりに餌を捕らえるための触手を持ちます。触手には刺胞と呼ばれる毒を放出する器官があります。
本学で学ぶ機会:卒業研究

アニマルバイオサイエンス学科の実習

入学後、アニマルバイオサイエンス学科ではどんな実習をするのでしょうか?ここでは、2回生までの実習を抜粋してご紹介します。
動物のことを知るためには、動物の形態、行動、生態、生理、発生、多様性、分類、飼育管理などを幅広く理解する必要があります。そのためには、動物を遺伝 子、たんぱく質、細胞といった要素に分けて学ぶアプローチと、動物を個体全体として学ぶアプローチの両方を含んだ学習が効果的です。
そこでアニマルバイオサイエンス学科では、1回生前期の実習で実験の基礎を身に付け、その後は動物個体、遺伝子、たんぱく質、細胞という4種類のレベルに対応した実習を通して動物を学べるよう工夫しています。

自然科学基礎実験
入学後、最初に行う1 回生前期の実習です。実験を安全かつ正確に行う方法、実験過程や結果を適切に記録する方法などを身に付けることが目標です。後に行う実習や、大学院や企業 での研究活動の基盤を作る重要な科目です。学科の学生が毎週全員集まる機会でもあるため、一人ひとりの学生の個性や悩みを把握する場としても活用していま す。

滋賀県畜産技術振興センター見学
滋賀県畜産技術センターは、近江牛や近江しゃもといった畜産物の生産を支援するための組織です。畜産技術の開発・指導、家畜の増殖・育成などを 行っています。家畜がどのように生産・研究されているかを学ぶため、自然科学基礎実験の一環として同センターを見学しています。昨年度は見学に加えて羊の 毛刈りも体験させていただきました。

サンショウウオ・ホタル観察
本学科では、動物をただ実験対象として捉えるのではなく、生態系で人間と共生する相手として捉える視座を育むことをめざしています。本学は豊かな 自然に囲まれ、すぐ近くで里山や湖に生息する多様な動物に出会うことができます。その地の利を活かし、自然科学基礎実験の一環として、近隣の水路でカスミ サンショウウオやホタルの観察を行っています。

動物科学基礎実験
動物を健康かつ幸福な状態で飼育するためには、動物の特徴や行動を理解し、飼育管理に反映させることが必要です。1 回生後期に行う本実習では、動物の福祉に配慮した飼育の基本を学びます。動物の取り扱いや飼育方法、居住環境の微生物モニタリングなどを身に付けます。ま た、動物実験に関する講習を受講し、関連する法律などについても学びます。

東山動物園見学
動物科学基礎実験では、動物が飼育されている現場を知るための施設訪問も行っています。昨年度は東山動物園に行きました。動物園の役割や歴史について説明を受けると共に、園内での動物の飼育管理の様子を理解するための視察を行いました。

遺伝子科学基礎実験
動物を遺伝子レベルで研究するためには、遺伝子工学の手法を用いて、動物から遺伝子を単離・増幅して解析・加工する必要があります。そこで本実習 (1回生後期に実施)では、そのための基本的な技術を習得します。プラスミドDNA の抽出、大腸菌の形質転換、DNAの制限酵素処理、電気泳動といった実験を行い、その方法と原理を理解し ます。

動物科学応用実験I
動物の行動に影響を及ぼす要因が生じた際(例えば何かの病気になった場合など)、その要因を解明するためには、動物の行動を数値化し評価する技術 が不可欠です。そこで本実習では、代表的なモデル動物であるマウスを用いて、行動生理学を学びます。歩行解析システムを使って足跡の指標を数値化する実験 などを行います。2回生前期の実習です。

細胞科学応用実験I
細胞レベルの実験は、細胞の構造や機能を研究するためだけでなく、個体レベルの実験を代替する手段としても重要です。この実習では、動物細胞の培 養について基礎的な知識と手技を学ぶと共に、細胞を固定・染色して観察する方法を身に付けます。さらに、実験結果の発表会を通してプレゼンテーション技術 を磨きます。2回生前期の実習です。

分子科学応用実験I
動物をたんぱく質レベルで研究するための技術として、SDS-PAGE 法を習得します。さらに、生体に含まれる様々な成分を解析するための機器分析の技術として、高速液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、原子吸光分光光 度計の操作方法を学びます。後者は食品衛生管理者と食品衛生監視員の資格を取得するために必要な技術です。2 回生前期の実習です。
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