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『Nature Communications』に山本章嗣教授の共同研究論文を掲載

哺乳類のミトコンドリア特異的オートファジー(ミトファジー)に働くキー・タンパク質を同定した研究論文が英科学誌『Nature Communications』(7月6日付)に掲載されました。この論文は、本学の山本章嗣教授と英国キングス・カレッジ・ロンドンの大津欣也教授との共同研究によるもので、大阪大学、東京工業大学、長浜バイオ大学が参加しています。

傷害を受けたミトコンドリアはオートファゴソームに特異的取り込まれて分解され処理されており、この過程をミトファジーと呼んでいます。ミトファジーは慢性疾患の防止に重要であり、この過程に障害を受けると、パーキンソン病などの神経変性疾患、糖尿病などのメタボリック・シンドローム、心臓病などを引き起こす事が知られています。哺乳類のミトファジーに関与するタンパク質についてはパーキンなどが知られていましたが、その欠損によるミトファジーの阻害が高くない事から、ミトファジーに関与する未知のタンパク質が存在すると考えられました。

この論文では、酵母のミトファジーに必須のAtg32の哺乳類ホモログとしてBcl-2 like protein 13を見い出し、実際にミトファジーに働く事を明らかにしました。本タンパク質は、ミトコンドリアの外膜に存在して、そのWXXIモチーフがLC3との結合に、BHドメインがミトコンドリアの断片化に関与している事、リン酸化によりその活性が調節される事が示されたました。

これらの知見をもとに慢性疾患に対する新しい治療薬が開発されることが期待されます。

Murakawa T, Yamaguchi O, Hashimoto A, Hikoso S, Takeda T, Oka T, Yasui H, Ueda H, Akazawa Y, Nakayama H, Taneike M, Misaka T, Omiya S, Shah AM, Yamamoto A,Nishida K, Ohsumi Y, Okamoto K, Sakata Y, Otsu K.

Bcl-2-like protein 13 is a mammalian Atg32 homologue that mediates mitophagy and mitochondrial fragmentation. Nat Commune. 2015 Jul 6; 6:7527. doi: 10.1038/ncomms8527.