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第112回バイオセミナーを開催します

第112回長浜バイオ大学バイオセミナーを開催します。

日 時: 2015年2月24日(火) 15時20分~16時40分
場 所: 命北館4F 中講義室5

テーマ:Srcによるがん形質発現メカニズムの再考
講 師:大阪大学微生物病研究所 発癌制御研究分野 准教授
小根山 千歳 先生

【講演内容】
Srcは最初に同定されたがん遺伝子およびチロシンキナーゼであり、細胞の分化・増殖・生存などを司るシグナル伝達において必須の存在である。c-Srcは多くのヒトがん細胞でその発現・活性の亢進が見られる一方、正常細胞型として存在し自身の遺伝子変異を伴わない。すなわち、c-Srcシグナルの制御系が破綻し異常ながんシグナルの伝達からがん形質の発現に至ると考えられるが、その詳細は未解決である。私たちは、c-Srcの負の制御因子であるCskを欠損したマウス線維芽細胞が、c-Srcによってがん化することを見出し、このモデル系を活用してc-Srcによるがん形質発現の詳細な分子メカニズムを再考してきた。その過程で、細胞膜マイクロドメインである脂質ラフトが、Srcの局在制御を介してがん形質を抑制しているという新しい概念に至った。またリン酸化によるがんシグナル伝達経路の陰に、複数のmicroRNAが協調してSrc関連分子の発現を制御するいわば隠れたネットワークが存在し、その異常ががん形質に深く関与していることを見出した。本セミナーでは、これらのSrcシグナル制御機構とその破綻としてのがん形質について発表する。

小根山先生は、大阪大学大学院理学研究科博士前期課程修了後、協和発酵工業(株)を経て、大阪バイオサイエンス研究所(花房秀三郎研究室)で研究をされていました。がん原遺伝子・がん形質発現・脂質ラフト・microRNAなどがご専門です。

学外の研究者、一般の方のご参加を歓迎いたします。