第148回バイオセミナーは、巨大ウイルス学、分子生物学、生物教育学がご専門の、東京理科大学理学部第一部教授の武村政春先生にご講演いただきます。
先生方、大学院生の皆さんをはじめ、学部学生の皆さんも、ご専門の研究分野を問わず多数ご参加ください。
日 時 2017年10月24日(火)15時20分~16時40分
会 場 命北館4F 中講義室5
演 者 武村 政春先生(東京理科大学 理学部第一部 教授)
演 題 巨大ウイルスのもつ、細胞性生物に迫るほどの複雑性と多様性
2003年のLa Scola らによるミミウイルスの発見以降、それまでのウイルスに比べて粒子サイズ、ゲノムサイズ共に大きく、細胞性生物の複雑性に肉薄するほどの機能と構造をもった「巨大ウイルス」が相次いで報告されている。ミミウイルスは、それまでのウイルスには見られなかった翻訳系遺伝子であるアミノアシルtRNA合成酵素遺伝子をもつウイルスの最初の報告例であり、2017年にはメタゲノム解析により、19種類のアミノ酸にそれぞれ対応する同遺伝子をもつ巨大ウイルスの存在も明らかとなった。
我々は2016年以降、日本で初めてとなる巨大ウイルス「トーキョーウイルス」をはじめ、いくつかの新しい巨大ウイルス株を分離してきた。最近になって我々が温泉から分離した「メデューサウイルス」は、ゲノム解析によりヒストン遺伝子を真核生物と同様に5種類持つことが示唆されると共に、これまでの巨大ウイルスならびにそれが属するNCLDV(核細胞質性大型DNAウイルス)とは系統を異にする新科新属と思われるウイルスであることが明らかとなった。
本講演では、トーキョーウイルスとデューサウイルスを中心に、魅力あふれる巨大ウイルスの世界を紹介したい。